MITSKI - LAUREL HELL (LP)
¥3,619 (tax in)
真っ赤な薔薇とその棘のような厳かな美しさと痛みを伴う音楽を生み出すMitski。4年ぶりとなる6thアルバムがリリースされました。
前作『Be The Cowboy』では身を切るような愛の歌をフィクションに作り替え、ノンストップでツアーを回り、魂をすり減らしながらも自分自身と切り離したスターを演じ続けた彼女。2019年に一度音楽業界のゲームから離脱することを発表し、表立った活動を休止していた間に制作したのがこのアルバムです。『Laurel Hell』というタイトルは、鎮静効果などのすぐれた効用を持つと同時に栄光を讃える象徴でもある薬草〈月桂樹〉と〈地獄〉を組み合わせたもの。月桂樹の森は枝が複雑に絡み合い通り抜けることが難しいことから実際に英語圏でそのように呼ばれているらしいのですが、この作品もまさにMitskiが長く険しいトンネルを通る過程を表現しています。
目を閉じて横たわり、恍惚とも苦悩ともとれる表情をしたアートワークの彼女。ギターは鳴りを潜め、太くヘヴィーなアナログシンセとピアノを中心としたスローで幽玄なバラードと熱っぽいダンスポップが交互に展開されます。赦し/恨みといった今までにない両義性をはらんだ言葉が辛辣かつ思慮深く紡がれ、時折差し込まれる不穏なコードのうえで美しいメロディと融合している点も含めて、どこまでもそのアンビバレンスさに揺さぶられる11曲。最後のライブの後に書いたという"Working for the Knife"は「私はすべての映画の冒頭で泣く」とはじまり「私も作っていたかったからだと思う」と続きます。普遍性を持ちすぎない、安易な消費がためらわれるMitskiだけの音楽がここにあります。
多くの曲がスッと消えて無くなってしまうように終わり、漆黒の静寂が訪れる様はまるでシーンが暗転するよう。曲単位ではなくアルバムでじっくりと聴いてこその味わい深さが詰まっています。
Label : Dead Oceans
https://www.youtube.com/watch?v=HYbXt4_r9Pw
https://www.youtube.com/watch?v=P4J3Z9xgjWQ
https://www.youtube.com/watch?v=cNwy1Th4NYo
https://www.youtube.com/watch?v=LmXFF_whkVk