H. Takahashi - Orange (Incense Oil + Cassette Tape)
¥4,500 (tax in)
SOLD OUT
朝・昼・夜をイメージした天然由来成分100%使用のオリジナルエッセンシャルオイルと、その香りから想起された楽曲を収録したカセットテープがセットになった『Sound Incense & Incense Sound』シリーズ。こちらは東京を拠点とする電子音楽家 H. Takahashiによる、奥行きのある柑橘系の香りと森の精霊がいたずらに微笑むような音の粒が舞い、おだやかな微睡へと飛び込む〈昼〉。日常の中に聴覚と嗅覚を研ぎ澄ませる瞬間をもたらし、その感覚が自分をどこに連れていくのか?次第に変化する香りと音の連動とともにお楽しみください。パッケージのデザインはYudai Osawaが担当。DLコード付属。限定100セット。
Label : Kankyō Records
https://bandcamp.com/EmbeddedPlayer/album=1870478815/
以下レーベルインフォより
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アンビエント〜ニューエイジを中心に据え、「住環境でのリスニング」をコンセプトにしたレコード・ショップKankyo Recordsが満を持してローンチさせたシリーズ”Sound incense”。【朝・昼・夜】をテーマにそれぞれ作られたオーガニックエッセンシャルオイルからイメージを膨らませて香りに寄り添うように楽曲制作を行ったというプロジェクトの概要を聞いた時、驚きと共にH.TakahashiのKankyo Recordsというコンセプトの解像度を上げ、彼が発信する音楽をより生活にフォーカスした身近なものにする方法の一つだと気づき、膝を打った。
ご存知の方も多いだろうが、Kankyo Recordsのwebページにアクセスするとまず”Select by Your Environment(あなたの環境に最適な音楽を選択してください)”という文字が現れ、Morning、Noon、Nightといった時間軸だったり、Bath RoomやEatといった生活する上での様々なシチュエーションを選択することができる。コロナウイルスが蔓延し、生活様式が変わる中で、人々の音楽に対する関わり方も聞き方も大きく変わらざるを得なかったわけだが、その渦中において住環境での生活に寄り添った音楽コンテンツと新しい音楽の楽しみ方を提示するKankyo Recordsが生まれたのは必然の流れであるかもしれない。さらにいうと、国内に雨後の筍のように様々な形のレコードショップが誕生しては消えていく中で、ここまで真っ直ぐに環境音楽を実践している店も他に類を見ないだろう。
アンビエント作家の他に、建築家としての顔も併せ持つH.Takahashiだが、音楽を作り始めて間もなく、USアンダーグラウンドの名門”NOT NOT FUN”からリリースを果たしている。ちょうどそのタイミングで曲作りについての話を聞いたことがあるのだが、驚いたことにiPhone内蔵の音楽制作アプリGarage bandのみを使い、当時会社勤めだった彼は、通勤時の駅のホームで曲作りをしていると言うのだ。その時に建築の設計と音楽の組み立て方はとても似ている、という旨の話をしていたのがとても印象に残っている。 つまるところ、彼にとって音楽を作って聞いてもらう、という行為は誰に何を強いるわけでもなく、日々の生活の中に溶け込み、少しの潤いと安らぎを与える、建築物を設計して人を住まわせるといった行為と地続きの、リビングにさりげなく飾られた一輪の花のようなものではないだろうか。
まずは本作『Orange』の楽曲のインスピレーションの元となったエッセッンシャルオイルの香りを嗅いでみよう。微量の成分が複雑に入り組んでいるのではっきりとこの匂い、というのは分からないが、爽やかな柑橘系の成分が鼻腔に広がり、鼻先からすっと抜けていく。その後におそらく香木だろうか、少し重厚感のある上品な木とローズマリーの香りが微かに残るので、爽快感と甘さのバランスが絶妙で、スッキリしているのにリラクシンなムードが漂う、深みのある調和が取れたとても立体的な香りなのである。時間経過とともに香りが変化してゆくアロマの温かくポジティブな気分にさせてくれる効能をしばらく楽しんだら、そこから音に耳を傾けてみよう。
H.Takahashiの作風の一つでもある、内省的でミニマルな淡く美しいサウンドスケープを想像された方は少し驚くかも知れない。マリンバやカリンバなどトロピカルな楽器、熱帯雨林を思わせる環境音や鳥の鳴き声が随所に飛び交う本作は、香りと共に時間軸を経ることで様々な情景が浮かんでは消え、アロマオイルで鋭敏になった知覚をさらに開眼させるような甘く危険な香りのする、まさに午睡の中に鬱蒼と現れた白昼夢のような小品が散りばめられたエキゾチック•ニューエイジ作品なのである。リラックスして鼻と耳をふんだんに楽しませ、記憶とイメージの海に飛び込み、香りから音へ、嗅覚から聴覚へと知覚の裾野を広げることで、よりディープなサウンドトリップがあなたを待っているだろう。[DJサモハンキンポー]